人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

腎内科クリニック世田谷
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菅沼院長の元気で長生き講座
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第133回 元気で長生き講座【2023年9月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

 

~心臓や体水分量管理の為にも週18時間以上の長時間透析をお勧めします~

 

長時間透析における心エコーと心電図の関連

以前、心エコー検査の結果から長時間透析が心肥大の改善に効果があると発表しましたが、今回は心電図検査とMLT(体水分量)検査で心機能を評価出来る事を発表しました。心エコーは長時間透析の評価に有効でしたが、心エコーが測定できない患者さんが何人かおられました。その理由は肥満です。長時間透析の効果で元気に動くことが出来、ご飯がおいしくなると、食欲が止まらず過度な体重増加が起こり得ます。心エコーは肥満により皮膚から心臓までの距離があると正確な測定が難しくなります。肥満の方も適正な心機能評価をするために、今回は心電図検査とMLT(体水分量) 検査から心機能評価を行うことでカバーしました。

心電図検査とは何でしょうか? 心臓のリズミカルな動きを司っているのは、実は“電気”です。心臓は筋肉でできた臓器で、その筋肉にわずかな電気が流れて興奮し、それによって拍動が起こります。このような心臓を動かす電気の流れを測定するのが心電図検査です。心臓の形は見えませんが、心臓の形、大きさが変われば流れる電気が変化します。その変化した波形をDrは見て心臓に異常がないか判断します。つまり心臓が肥大すれば流れる電気が大きくなるということです。今回はV1S波の深さとV5R波の高さの和(SV1RV5)が35mm3.5mV)を超えるものを左室肥大としました。(Sokolow 基準)MLT(体水分量)検査は、身体の成分を分析する検査です。人体の水分の割合は6割以上を占めており、水は電気がよく流れます。その特性を利用し、脂肪量や水分量を測定し適正な体重設定や除水管理の評価に用います。体重計についている体脂肪計と原理は同じです。

 

透析では水分管理が重要です。水分の摂り過ぎや痩せることで体の水分割合が大きくなり、それが続くことで心肥大のリスクが上がります。今回は検査項目の中で細胞外液率(ECW/FFM) 標準範囲(2030)で評価をしました。各検査を透析時間で分け、週18時間(長時間透析)とそれ以外(18時間未満)で比較し3年間の変化を見ました。心エコーは前回同様、週18 時間以上で強く有意差が出ており、心肥大が改善していました。心電図の比較では18時間以上で有意差が強く出ており 1 年目から3年目にかけて心肥大の値が下っていました。MLT(体水分量)でも18時間以上の透析患者で有意に値が下っていました。今回心エコーの値だけでなく心電図、MLT(体水分量)からも心機能改善の傾向が見られました。

 

肥満の方でも適切に心機能評価できそうだとわかりましたが、長時間透析をすればいくらでも飲食をしても良いのでしょうか。答えは“No”です。過度な体重増加により心エコー測定困難者が増える事、それにより問題の発見が遅れる可能性が高くなります。患者様に置かれましては第一に体重増加を抑える事、クリニックでは測定が困難な患者に対応出来る環境を整える事や他施設との連携の強化が課題になります。長時間透析を行う事で心機能の改善の可能性が示唆されましたが、それを過信しない生活が大切です。

 

 

 

今回上記文章を竹石康弘臨床工学技士主任が透析患者様向けに執筆してくれました。以前の長時間透析研究会での発表は第110回元気で長生き講座(2021年8月号) にてご紹介しました。

 

通常の心電図検査は12誘導心電図が実施されますが、四肢誘導と胸部誘導の波形があり、胸部誘導の波形はV1V6まで6つあります。心電図における最も大きな波は下向きのQ波、上向きのR波、下向きのS波の3つの波で構成されるQRS波であり、通常V1S波の深さ(S波振幅)とV5R波の高さ(R波振幅)の和(SV1RV5)が35mm3.5mV)を超えるものを左室肥大が生じているとされています。(Sokolow 基準:心電図上の左室肥大診断に最もよく用いられています。心臓は、左房 左室 右房 右室の4つの部屋から構成されていて、左室の収縮により心臓から全身に血液が送られています) 心エコー(心臓超音波検査)のみならず、心電図検査の結果においても、週18時間以上の長時間透析患者様におかれましては、左室肥大を示す数値(SV1RV5)が統計学的に有意に改善(低下)していました!

 

本院におけるMLT(体水分量)検査は、生体電気インピーダンス法による身体組成分析装置による検査です。その結果、週18時間以上の長時間透析患者様におかれましては、体水分量・浮腫(むくみ)と関連する細胞外液率(ECW/FFM)が統計学的に有意に改善(低下)していました!

以上の新たな知見を竹石臨床工学技士が本年の第33回日本臨床工学会にて報告しました。

 

肥満と生命予後との関連については、2009年末のわが国の慢性透析療法の現況にて、体重と身長から求められる体格指数BMI25前後(2426)の軽度肥満の方が最も生命予後良好が示されており、透析患者様におかれましては、痩せないことや栄養が生命予後にとって特に重要と考えられています。とは言っても、竹石臨床工学技士ご指摘の通り、60歳未満の方は第67回元気で長生き講座(2017年7月号)にてご紹介しました様に、肥満にもご注意頂ければと存じます。肥満にもご注意頂ければと存じます。肥満により膝等への負担が危惧され、睡眠時無呼吸症候群等のリスクも高まります。BMI30以上の中等度以上の肥満の方は炭水化物(ライス・麺・パンや砂糖・甘味類等)を取り過ぎないようにして頂き運動量増加が特に望まれます。又、第64回元気で長生き講座(2017年4月号)にて週初め(月曜もしくは火曜)の二日空きでのDW (ドライウエイト:透析後目標体重・基準体重・乾燥体重・基礎体重)に対する体重増加率46%で最も生命予後良好であることをご紹介しており、塩分や水分の摂取量と関連する透析間の体重増加にも是非ご注意頂ければと存じます。

 

以上より、週18時間以上の長時間透析は低栄養・痩せや心機能・心肥大の改善、体液量是正効果も期待出来ますので、引き続きお勧めいたします!

 

※ BMI(Body Mass Index)

ボディ・マス・インデックスと呼ばれる指標で、ボディ・マス指数とも呼ばれ、肥満や低体重(痩せ)の判定に用いられ、計算式は体重(kg)÷{身長(m)の2乗}で表されます。