人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

菅沼院長の元気で長生き講座
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腎内科クリニック世田谷
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〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

第67回 元気で長生き講座(2017年7月号)

菅沼院長の元気で長生き講座

60歳未満の方は痩せすぎのみならず太りすぎにも注意して頂き、60歳以上の方は痩せないようにしっかり食べましょう~

 

体格指数(body mass index :BMI)は「体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))」にて計算され、例えば体重60kg、身長170cmの場合、60÷(1.7×1.7=2.89)20.8です。本院の透析支援システムにて災害対策としても覚えておいて頂きたいDW(ドライウェイト:透析後目標体重・基準体重・乾燥体重・基礎体重)を元に自動計算されています。

 

東京医科大学の青柳先生がBMIと生命予後との関係は年齢によって全く異なるとの報告をされておられましたので、ご紹介致します。死亡者のBMIを横軸に、生存者のBMIを縦軸に設定し、BMIの小さいほうから値を並べた結果、60歳未満は、BMI20あたりを境に、それよりBMIが低い場合は生存者のBMIの方が高値であったのに対し、20より高い場合は生存者のBMIの方が低値でした。つまりBMIが低すぎても高すぎても死亡率が高くなる傾向でした。一方60歳以上は、どのBMIにおいても、常に生存者のBMIの方が高値でした(図)。

 

本院外来維持血液透析患者様のBMIの分布を調査しました結果、驚くべきことにBMI30以上の中等度以上の肥満の方が国民健康栄養調査の全国平均をも遙かに上回る10%もいらっしゃいました。一方、痩せている方は日本透析医学会(JSDT)統計調査における全国平均より明らかに少なく、栄養に関し大変良好な結果でした。今回の日本透析医学会学術集会・総会にて発表した「前希釈オンラインHDFの可能性」にて、本院でのHD(血液透析)実施中体重が変わらなかったが、間歇補充型HDFI-HDF)開始後、体重が増加した一方、本院でのHD(血液透析)実施中体重が増えていたが、オンラインHDF(血液透析濾過)開始後、体重増加が抑制されていたことを紹介し、本院で実施しておりますアルブミン漏出量の多い高性能な血液浄化器を用いた前希釈大量液置換オンラインHDFは肥満の抑制に有効である可能性を述べさせて頂きました。2009年末の「わが国の慢性透析療法の現況」にて、BMI25前後の軽度肥満の方の生命予後が最も良好と報告されており栄養状態の良い方、筋肉量や透析量の多い方の生命予後良好が報告されておりますので、「しっかり食べて動いてしっかり透析」を本院は勧めて参りましたが、60歳未満の方におかれましては、痩せすぎのみならず太りすぎにも十分注意して頂きたく存じます。60歳未満の肥満の方は、塩分のみならず炭水化物(ご飯、パン、麺類)も制限して頂き、適切な体重を目指しましょう。一方、60歳以上の方は痩せないようにしっかり食べましょう。年齢に関係なく「しっかり動いてしっかり透析」、すなわち十分な歩行等の運動並びに長時間透析等の十分な透析量の確保の実施並びに継続をお勧め致します!