人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

菅沼院長の元気で長生き講座
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腎内科クリニック世田谷
腎内科クリニック世田谷
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

第141回 元気で長生き講座【2024年6月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

 

自主機能評価指標(202312月末現在)~本院は全国平均より透析量が多く「長生き」が期待出来る良好な検査結果が得られています~

 

日本透析医会は自主機能評価指標の項目を選定し、自律的に自らの診療内容や医療の質の評価を公開することを勧めており、本院でも「日本透析医会の透析医療の自主機能評価指標に基づく」選定された全ての評価指標項目を毎年公表しております。

*は「日本透析医会の自主機能評価指標でない」ものの本院で更に公開している項目です。

 

-2施設の機能における本院の特徴としてオーバーナイト透析(深夜透析)や在宅透析方法である腹膜透析(PD)及び在宅血液透析(HHD)双方に対応している事があげられます。深夜透析やHHD実施によっても、良好な生命予後が期待出来る長時間透析実施に繋がっています。

 

Ⅲの治療指標は透析治療結果を反映するもので、本院での腎性貧血管理は生命予後の観点からも鉄欠乏のリスクを高める赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が過剰とならない事も目指しており、TSAT(鉄飽和率)20%以上に鉄が充足されていると生命予後良好や近年PIVOTAL研究にて鉄剤の積極的投与群と鉄欠乏が生じてから鉄補充を行う消極的投与群との比較で、積極的投与群でESA投与量や輸血が有意に少なく、心不全入院、心筋梗塞や全死亡が有意に少なかった事が報告1されており、鉄剤の積極的な投与により①ヘモグロビン(Hb)平均値11.0(中央値11g/dLと共に、貯蔵鉄の指標であるフェリチン(ferritin)平均値235.6(中央値163ng/mLと以前より上昇しており、ESA投与量が少ない方やエリスロポエチン抵抗性指数(ERI9.44未満の低値での生命予後良好が報告2されており、ESAの代わりに新規腎性貧血治療薬HIF-Ph阻害薬内服中の患者様もいらっしゃいますが、ESA投与量が少ないERI低値の患者様が多くいらっしゃいます。日本透析医学会の2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン3に従いHb1012g/dLを目標値としつつ、生命予後との関連も明らかとなってきております体内鉄量にも注意していきたいと存じます。

 

副甲状腺ホルモン値である③iPTH平均値138.3(中央値110pg/dL240 pg/dL以下の達成割合が、リン(P)や補正カルシウム(cCa)値の達成割合より低いものの、PTH値と生命予後との関連が低かった報告4もあり、日本透析医学会の慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン5に従い、異所性石灰化予防及び生命予後の観点からもP値、補正カルシウム値(cCa)、副甲状腺ホルモン(PTH)値の順に優先して良好な値を目指しており、cCa平均値は9 mg/dLを超えている全国平均よりも低い8.7(中央値8.6mg/dLcCa10 mg/dL以下の割合99%の良好な数値となっております。実際、上記CKD-MBDの診療ガイドラインに「透析患者においては血清Ca濃度がたとえ管理目標値内であってもできるだけ低く保つ方が生命予後を改善する可能性が示唆された」との記載がなされております。血清アルブミン(Alb)値4g/dL未満では補正式でcCaを算出します。最も良好にコントロールすべきと考えられる②P値は全国平均が5を越えているのに対し、本院平均値は4.6mg/dLの良好な数値となっております。

 

本院では実に8割弱の方が⑤5時間以上の透析、5人にお一人を越える方が⑥週18時間以上の長時間透析をお受け頂いており、HHDの皆様におかれましては週あたりの透析時間を3で割って求めておりますが、本院平均透析時間は5.2時間に到達しています。透析量の指標である標準化透析量spKt/V1.2未満の一部の方は透析導入間もない方や短時間頻回透析を実施中のHHD患者様らで、本院平均⑦spKt/V値は1.812009年末のわが国の慢性透析療法の現況にてspKt/V1.82の方が最も(次いで2以上の方の)生命予後良好が報告6されています。透析アミロイドーシスの原因蛋白β2-マイクログロブリン(β2MG)値は低値程生命予後良好が報告されており、日本透析医学会血液透析処方ガイドライン7)では30mg/L未満、可能であれば25mg/L未満が目標とされており、本院平均β2MG25mg/Lの「長生き」が期待出来る良好な数値となっております。

 

「元気で長生き」を目標により良い治療結果が得られるよう皆様と共に今後も歩んでいきたいと考えておりますのでご理解とご協力を引き続き宜しくお願い申し上げます。

 

 

<文献>

1)Iain C Macdougall, Claire White, Stefan D Anker, et al: Intravenous Iron in Patients Undergoing Maintenance Hemodialysis. N Engl J Med;380(5):447-58,2019 DOI:10.1056/NEJMoa1810742

2)Rieko Eriguchi, Masatomo Taniguchi, Toshiharu Ninomiya, et al: Hyporesponsiveness to erythropoiesis-stimulating agent as a prognostic factor in Japanese hemodialysis patients: the Q-Cohort study. J Nephrol. 28(2): 217-25, 2015 DOI:10.1007/s40620-014-0121-9

3)日本透析医学会:2015年版慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン.透析会誌49(2):89-158,2016

4)Fukagawa M, et al:Abnormal mineral metabolism and mortality in hemodialysis patients
with secondary hyperparathyroidism: evidence from marginal structural models used to adjust for time-dependent confounding. Am J Kidney Dis 63(6):979-87, 2014

5)日本透析医学会:慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン.透析会誌45(4):301-56,2012

6)日本透析医学会:わが国の慢性透析療法の現況2009年12月31日現在

7)維持血液透析ガイドライン:血液透析処方. 透析会誌46(7):587-632,2013