人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

腎内科クリニック世田谷
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

菅沼院長の元気で長生き講座
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第165回 元気で長生き講座【2026年8月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

 

自主機能評価指標(2025年12月末現在)

~本院は全国平均より透析量が多く「長生き」が期待出来る良好な検査結果を認めています~

 

本院も施設会員となっております日本透析医会は平成26年自主機能評価指標の項目を初めて選定し、自律的に自らの診療内容や医療の質の評価を公開することを勧めており、本院でも選定された評価指標項目に基づき全項目を公表しております。令和2年に公開項目の見直しがあり、上記の各番号の「日本透析医会の自主機能評価指標の公開項目」以外にも*印の見直し前の項目を含む項目についても本院は更に公開しております。

 

Ⅰ-2の「施設の機能」における本院の特徴として8時間のオーバーナイト透析(深夜透析)や在宅透析方法である腹膜透析(PD)及び在宅血液透析(HHD)双方にも対応があげられます。深夜透析やHHD実施によっても、良好な生命予後が期待出来る長時間透析が実施出来ています。また、オンラインHDFは勿論、間歇補充型HDFI-HDF)も本院では実施可能であることも公開しております。

 

Ⅲの「治療指標」は透析治療結果を反映するものです。本院での貧血管理は生命予後の観点からも鉄欠乏のリスクを高める赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が過剰とならない事も目指しており、トランスフェリン飽和度(TSAT:鉄飽和率:Fe÷TIBC×100%で算出されます)20%以上に鉄が充足されていると生命予後良好1)PIVOTAL研究にて鉄剤の積極的投与群と鉄欠乏にいたってから鉄補充を行う消極的投与群との比較で、積極的投与群でESA投与量や輸血が有意に少なく、心不全入院、心筋梗塞や全死亡が有意に少なかったことが報告2)されており、鉄剤の積極的投与によりヘモグロビン(Hb)平均値10.9(中央値11.0g/dLと共に、わが国からも20%以上で生命予後良好3)が報告されておりますTSAT28.7%と以前より上昇しており、ESA投与量の少ない方4)やエリスロポエチン抵抗性指数(ERI)低値での生命予後良好5)が報告されており、良好な生命予後が期待出来るESA投与量が少ないERI低値の患者さんが多くいらっしゃいます。日本透析医学会の2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン6)に従いHb1012g/dLを目標としつつ、生命予後と関連する鉄状態にも引き続き注意していきたいと存じます。

 

昨年末発表の13年ぶりに改訂された新しい日本透析医学会の「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン」7)にて、異所性石灰化予防と生命予後の観点からも、多くの適応となる方に対するカルシミメティクス(カルシウム受容体作動薬)投与が推奨され下限値が撤廃された副甲状腺ホルモン(iPTH)値よりも、リン(P)及び補正カルシウム(cCa)値を優先して良好な値を目指すべきとされており、日本人データに基づきPcCa双方とも目標値の上限値が0.5mg/dLずつ引き下げられました。これを受けて今年より「*P管理(P 5.5 mg/dL以下の比率)」と「*補正Ca管理(cCa9.5 mg/dL以下の比率)」の結果も本院では新たに公開しました。これまでのガイドラインでは、cCaよりもP管理が優先されるとされていましたが、新ガイドラインでは、cCaP同等の重み付けとされました。本院cCa平均値は9を超えている全国平均よりも低い8.8(中央値8.8mg/dLcCa9.5mg/dL以下の割合97.6%の極めて良好な結果となっております。しかしながら、透析患者さんにおいても重篤な不整脈の原因となる心電図変化で生命予後との関連も報告8されているQT延長が低Ca血症では多く見られることがわが国の統計調査結果でも報告9されており、透析低血圧や下肢つりの原因となることもあり得ますので、現在の上記本院平均及び中央値辺りのcCa値を今後も目標値としていきたいと考えております。なお、血清アルブミン(Alb)値4g/dL未満では補正式でcCaを算出します。

 

18時間の6時間透析(長時間透析)施設での高血圧管理及び生命予後良好が報告10されており、日本透析医学会血液透析処方ガイドライン11)でも生命予後と関連するため透析時間は4時間以上が推奨されており、本院施設透析患者さんで4時間未満の短時間透析の方は皆無で、平均透析時間は5時間を超えており8割弱の方が5時間以上の透析、34人にお一人は週18時間以上の長時間透析をお受け頂いております。透析量の指標である標準化透析量(spKt/V1.2未満の一部の方は透析導入間もない方やHHDにて週4回以上の頻回透析をされておられ本院施設透析時に短時間透析で前後採血を行っている方で、高血液流量透析も実施している本院spKt/V平均値は1.84で、2009年末のわが国の慢性透析療法の現況にてspKt/V1.82の方が最も(次いで2以上の方の)生命予後良好が報告12)されています。 透析アミロイドーシスの原因蛋白β2-マイクログロブリン(β2MG)値は低値程生命予後良好が報告12されており、日本透析医学会血液透析処方ガイドライン11)30mg/L未満、可能であれば25mg/L未満が目標とされており、本院平均β2MG25.8mg/Lの「長生き」が期待出来る良好な数値となっております。

 

公開をご希望されるその他の項目がございましたら、本院スタッフまでお申し出ください。 「元気で長生き」を目標に可能な範囲でより良い治療結果が得られるよう皆様と共に今後も歩んでいきたいと考えておりますので、引き続きご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。

 

 

参考文献

1) Hyang Mo Koo, Chan Ho Kim, Fa Mee Doh, et al. The Relationship of Initial Transferrin Saturation to Cardiovascular Parameters and Outcomes in Patients Initiating Dialysis. PLoS One. 2014;9(2): e87231.

2) Iain C Macdougall, Claire White, Stefan D Anker, et al. Intravenous Iron in Patients Undergoing Maintenance Hemodialysis. N Engl J Med;380(5):447-58,2019.

3) Sato M, Hanafusa N, Tsuchiya K, et al:  Impact of transferrin saturation on all-cause mortality in patients on maintenance hemodialysis. Blood Purif 48: 158–66, 2019

4) Bae MN, Kim SH, Kim YO, et al. Association of Erythropoietin-Stimulating Agent Responsiveness with Mortality in Hemodialysisand Peritoneal Dialysis Patients. PLOS One 2015;10(11):1-13.

5) Rieko Eriguchi, Masatomo Taniguchi, Toshiharu Ninomiya, et al: Hyporesponsiveness to erythropoiesis-stimulating agent as a prognostic factor in Japanese hemodialysis patients: the Q-Cohort study. J Nephrol. 28(2): 217-25, 2015 DOI:10.1007/s40620-0140121-9. 

6) 日本透析医学会. 2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン. 透析会誌 2016;49(2):89-158.

7) 日本透析医学会. 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン(2025年改訂版)透析会誌 2026;59(4):127-224.

8) Simonetta Genovesi, Emanuela Rossi, Michela Nava, et al. A case series of chronic haemodialysis patients:mortality, sudden death, and QT interval. Europace 2013;15:10251033

9) 一般社団法人日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)」, 透析会誌 2020;53(12):579-632.

10) 前田利朗. 6時間透析における生存率-20年間の経験から. 日本透析医会雑誌 2010;25(1):95-100. 

11) 日本透析医学会. 維持血液透析ガイドライン:血液透析処方. 透析会誌2013;46(7):587-632.

12) 日本透析医学会統計調査委員会. わが国の慢性透析療法の現況(2009年12月31日現在). 日本透析医学会雑誌 2011;44(1):1-36.