人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

菅沼院長の元気で長生き講座
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腎内科クリニック世田谷
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第111回 元気で長生き講座【2021年9月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

 

~より多くの皆様にワクチン接種とその後も正しいマスク着用を含む感染対策継続をお勧めします~

 

日本国内で今年2月に開始された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン接種は、2021年8月18日の段階で少なくとも1回接種した方が人口の51.1%、2回のワクチン接種を終えた方が39.5%に達しています(Our World in Data)。1回接種した人数は国民の半数を超えました。しかし、デルタ株の発生により世界的に見ても状況が大きく変わっています。デルタ株の感染性とワクチンの効果に関する岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野の下畑教授のブログ記事から引用致します。オリジナル株よりもより早く多くの人に感染させてしまう為、ワクチン接種と感染対策継続が望まれますが、図2のCt値はPCR陽性でも高値であればウイルス量が少なく感染力はないと考えられています。

 

◆デルタ株はオリジナル株と比べ,潜伏期間が2日短く,ウイルス量が1260倍多い.

 

現在,デルタ株の感染力は,2020年当初のオリジナル株の2倍以上と推定されている.この機序を検討した中国からの論文である.中国本土で初めてデルタ株の局所感染が発生したため,連日,潜伏期間とウイルス量を検討した.5月21日からの1か月間において発生したデルタ株感染者167人を調べたところ,初めてウイルスを検出するのは曝露から3.7日後であった.オリジナル株感染では平均5.6日後であったので,2日間の短縮が見られた.(図1)

(図1)

 

つまりデルタ株ははるかに速く複製されることが分かる.実際にデルタ株感染者のウイルス量は,オリジナル株の1260倍にも達していた(図2にPCRのサイクル閾値=Ct値).デルタ株の感染力の強さは,ウイルス数の多さと潜伏期間の短さの組み合わせで説明が可能である.つまり感染後のより早い段階から,絶対量の多いウイルスが超拡散現象により多くの人に感染するということである.

(図2:New EnglJ Med. July 21, 2021(doi.org/10.1056/NEJMoa2108891))

 

◆ワクチン接種を2回行えば,デルタ株でもアルファ株に近い感染防止効果が期待できる.

 

デルタ株とアルファ株に対するワクチン接種の効果を推定した研究が英国から報告された.ワクチン(ファイザーまたはアストラゼネカ)を1回接種した後の感染防止効果は,アルファ株(48.7%)に比べ,デルタ株(30.7%)で顕著に低かった(図3).この結果はいずれのワクチンでも同様であった.しかし2回接種では感染防止効果が高くなり,ファイザーワクチンでは,アルファ株で93.7%,デルタ株で88.0%であった.アストラゼネカワクチンでは,アルファ株で74.5%,デルタ株で67.0%であった.つまり2回接種した後,アルファ株とデルタ株ではワクチン効果にわずかな差しか認めなかった.以上より,デルタ株に対しては1回接種では不十分であり,接種は2回しっかり行う必要がある.

 

(図3:New EnglJ Med. July 21, 2021(doi.org/10.1056/NEJMoa2108891))

 

実際、デルタ株が流行した第5波では、ワクチン接種が完了した高齢者での感染例が明らかに減少し、未接種の50才台以下での感染者が増加していることからもワクチン接種の効果は明らかです。ワクチン未接種で感染すれば重症化リスクもあり命に関わります。基礎疾患のある透析患者様は尚更です。現状を直視し正しい知識を学べばワクチンを接種しない事がいかに危険か分かるはずです。一方、科学的根拠に乏しい反ワクチンを唱える方が一部存在しています。しかし、アメリカ合衆国ではバイデン大統領が「誤情報が人々の命を奪っている」と発言しており、「危険」「不妊になる」「遺伝子が書き換えられる」等の誤った情報に惑わされず、ワクチン接種を受けるよう未接種で迷っている方々に伝えて頂き、現況を打破する為にもワクチン接種が重要なので、ご自身やご家族を守る為に多くの皆様にワクチン接種をして頂きたいと思います。英国のロジャー・ヘンダーソン医師の、ワクチンを接種すべき下記9つの理由が記載された記事もあります。自分の為だけでなく、肺炎を来たし命に関わる危険な感染症を社会に蔓延させない事を目指しましょう。ワクチンには発症や重症化はもちろん感染後の後遺症のリスクを軽減する効果もあり、感染者であっても、免疫を強化出来変異株への効果も期待出来る為、ワクチン接種をした方が良いと言われています。実際抗体価は感染後よりワクチン接種後の方が高くなります。

 

1:ワクチン接種はSARS-CoV-2を感染させるものではない

2:自分だけでなく家族も社会も、感染から守る恩恵がある

3:ワクチンは安全

4:DNAを阻害しない

5:副反応は軽度

6:有効性レベルが高い

7:誰にでも使える

8:妊娠中の女性にも安全

9:十分なワクチンが用意されている

 

但し、接種後でも感染してしまう可能性があるので、接種後も、咳エチケットやマスク着用、手指消毒や手洗い(食事前、帰宅時に加えお薬服用前や来院時も行いましょう!)、3密(密閉・密集・密接)を避ける等の感染対策の継続をお願い致します。鼻まで覆う正しいマスク着用にて口からのみならず鼻からのウイルス侵入もしっかりと防ぎましょう。2021年8月15日公開の福島の援腎会すずきクリニックの鈴木院長のブログのマスクの素材に関する内容を下記に紹介します。ウレタンマスクは見た目が良いですが、呼吸がしやすいことからも効果が低いことが考えられます。他の素材のマスクを使用するか、ウレタンマスク使用の場合、他の素材のマスクも着用する二重マスクをお勧めしたいと思います。

※WHO:世界保健機関

 

感染拡大している今だから大切な事〜マスクについて

 

実験で新事実「ウレタンマスク」の本当のヤバさウイルス専門家、西村秀一医師が徹底検証

マスク別除去性能のグラフをご覧になって頂けると解るかと思いますが、ウレタンマスクの素材である「ポリウレタン」は、5マイクロメートル以下の粒子だと除去率1%以下となります。最近では、直径5マイクロメート以下でウイルス自体が浮遊して感染を起こすエアロゾル感染が新型コロナウイルス感染の主体だと言われています。WHOも屋内の混雑した空間で、空気中を漂う微粒子「エアロゾル」を介した感染が発生している可能性を指摘しています。

飲食店などで「エアロゾル」感染も、WHOが新指針

ウレタンマスクですとマスク無しで行動しているのと同じだという事になります。正しい知識を身につけて感染を予防する事がとても大切です。