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菅沼院長の元気で長生き講座
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腎内科クリニック世田谷
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第108回 元気で長生き講座【2021年6月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

 

~新型コロナウイルスワクチンは変異株にも無症候性感染にも有効です~

 

国内で今年2月に医療従事者に対して開始された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン接種が、次のフェーズである高齢者の方々に対して開始されました。維持透析を含む慢性腎臓病等の基礎疾患を有する患者様も優先接種の対象となります。ワクチンの開発・製造には長期間かかることが一般的ですが、現在の状況を打破するため医療技術の発達もあり異例の速さで完成しました。ワクチンが世界で最も速やかに接種がなされたイスラエルより新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断、発症、入院、重症化のいずれに対しても性別、年齢や基礎疾患によらない高い抑制効果が報告されています。接種後の感染も考えられていますので、接種後も、咳エチケットやマスク着用、手指消毒や手洗い(食事前、帰宅時に加えお薬服用前や来院時もお勧めします)、3密(密閉・密集・密接)を避ける等の感染対策の継続をお願い致します。

 

日本が第4波に見舞われた大きな原因として、変異株の発生があります。COVID-19発生当時のワクチン型を基に開発された現在のワクチンでは、変異型に対して効果がないのでは?との疑問をお持ちの方もいるかもしれせんが、ファイザー製ワクチンが変異株に対しても有効で無症候性感染も抑制するとの報告がなされたのでご紹介します。岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野の下畑教授のブログから引用致します。

 

ファイザー・ワクチンが南アフリカ型、英国型変異株に対しても有効で、とくに重症化に対しては97.4%の有効性を示したこと、さらにこれまで不明であった無症状感染に対しても有効性が証明されたことです。この厄介極まりないウイルスに立ち向かうにはやはりワクチンしかないと思います。その有効性、安全性を広く伝えていく必要があります。

 

 

◆ファイザー・ワクチンは南アフリカ型、英国型変異株に対してもそれぞれ89.5%、75.0%有効。

 

アラブ首長国連邦の対岸、カタールからの報告。カタールはワクチンによる集団予防接種キャンペーンに取り組み、57日現在で、100人あたりの接種回数が世界で15位の59.0回(イスラエル115.7回、米国74.6回、インド11.5回、日本は3.0回の119位)。

カタールで現在、流行しているのは変異株で、37日以降ほぼすべての患者は、B.1.351(南アフリカ変異株)またはB.1.1.7(英国型変異株)感染であった。本研究ではワクチンの効果を、テストネガティブケースコントロール研究デザインを用いて評価している。これはワクチン接種者と未接種者の間の医療機関への受診行動の違いから生じるバイアスをコントロールできる利点がある。結果であるが、2回目の接種から14日以上経過した時点で、英国型に対するワクチンの有効率は89.5%、南アフリカ型は75.0%であった。重症、重篤、致死に対するワクチンの有効性は97.4%と非常に高かった。以上より、変異株が主体のカタールにおいても、ファイザー・ワクチンは感染、重症化に対して有効であった。

New Engl J Med. May 5, 2021(doi.org/10.1056/NEJMc2104974

 

→ このようなエビデンスを行政は広く国民に周知する必要がある。

 

 

◆ファイザー・ワクチンは無症候性感染も抑制する。

 

症候性SARS-CoV-2感染に対するファイザー・ワクチンの有効性が明らかにされてきたが、無症候性感染に対する効果は不明である。イスラエルの単一施設から、医療従事者におけるワクチンの症候性および無症候性感染への効果について報告された。主要アウトカムは、ワクチンを完全に接種した医療従事者(2回目のワクチン接種から7日以上経過)とワクチンを未接種の医療従事者の症候性および無症候性感染に対する回帰調整罹患率比(IRR)とした。結果として6710名の医療従事者が中央値で63日間の追跡調査を受け、88.7%が少なくとも1回の接種を受け、82.2%2回の接種を受けた。11.3%が未接種であった。症候性感染は、完全にワクチンを接種した8 名と、未接種の38 名に発生した(発生率は10万人日あたり4.7149.8、調整 IRR0.03)。無症候性感染は、完全ワクチン接種で19 人、未接種で17 人に発生した(発生率は10万人日あたり11.367.0、調整 IRR0.14)。いずれも統計的に有意であった。以上より2 回目の接種から 7 日以上経過した後では、症候性および無症候性、いずれの感染症の発生率が有意に低いことが分かった。

JAMA. May 6, 2021. (doi.org/10.1001/jama.2021.7152

 

→ COVID-19の厄介な問題、無症候感染者による感染もワクチンで防ぐことができることを周知する必要がある。あらためて集団免疫を達成できるかどうかが今後の日本にとって極めて重要であることが分かる。