最高水準の腎臓病及び透析医療を追求する京王線千歳烏山駅北口の夜間透析・在宅透析も行う腎内科クリニック世田谷です。

菅沼院長の元気で長生き講座
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腎内科クリニック世田谷
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〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

第101回 元気で長生き講座【2020年10月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

 

~2019年末自主機能評価指標の開示~

 

当院も施設会員となっております日本透析医会は自主機能評価指標の項目を選定し、自律的に自らの診療内容や医療の質の評価を公開することを勧めています。当院でも本年新たに選定された項目を含め全ての評価指標項目以上を公表しております。新型コロナウイルスの影響により開示が遅れておりましたが、今号にてお伝え致します。

 

Ⅲの治療指標は透析治療結果を反映するものであります。
TSAT(Fe/TIBC×100:鉄飽和率)20%以上の鉄欠乏が無い透析患者様生命予後良好が報告(HyangMoKoo,et al:The Relationship of Initial Transferrin Saturation to Cardiovascular Parameters and Outcomes in Patients Initiating Dialysis. PLOS One. 2014;9(2): e87231.)されており、適切に鉄補充を行うことで、当院での腎性貧血管理は2019年末現在ヘモグロビン(Hb)平均値11.2(中央値11.1)g/dLと以前より上昇(改善)しております。日本透析医学会の2015年版慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン(透析会誌49(2):89-158,2016)に従いHb10~12g/dLを目標値としつつも、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)使用が少ないと生命予後良好(Iohannis Koulouridis, Mansour Alfayez, Thomas A. Trikalinos,et al. Dose of Erythropoiesis-Stimulating Agents and Adverse Outcomes in CKD:A Metaregression Analysis. Am J Kidney Dis2013; 61(1):44–56.)、エリスロポエチン抵抗性指数(ERI)低値で生命予後良好(Bae MN, Kim S H, Kim Y O, et al. Association of Erythropoietin-Stimulating Agent Responsiveness with Mortality in Hemodialysis and Peritoneal Dialysis Patients. PLOS One 2015; 10(11):1-13)の報告があり、生命予後の観点からもESA投与量が過剰にならない事も目指しており、当院にて長時間透析開始後、ESA使用量とERIの有意な低下が認められ、5時間以上の方が6割に到達しております!適切な鉄補充や長時間透析が、貧血の改善やESA使用量とERIの低下をもたらし、良好な生命予後をもたらすことが考えられます。
又、2019年末現在iPTH平均値196.9(中央値163.5)pg/dLとやや高値ですが、PTH値と生命予後との関連が低かった報告(Fukagawa M, et al:Abnormal mineral metabolism and mortality in hemodialysis patients with secondary hyperparathyroidism:evidence from marginal structural models used to adjust for time-dependent confounding. Am J Kidney Dis63(6): 979-87,2014)もあり、日本透析医学会の慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン(透析会誌45(4):301-356,2012)に従い、透析患者様の異所性石灰化予防及び生命予後の観点からもリン(P)値、補正カルシウム値(cCa)、副甲状腺ホルモン(PTH)値の順に優先して良好な値を目指しており、cCa平均値は9を超えている全国平均よりも低い8.81(中央値8.85)mg/dL、cCa10mg/dL以下の割合100%の良好な数値となっております。実際、上記CKD-MBDの診療ガイドラインに「透析患者においては血清Ca濃度がたとえ管理目標値内であってもできるだけ低く保つ方が生命予後を改善する可能性が示唆された」との記載がなされております。高知高須病院井上美和らによる論文「血液透析患者における補正総Ca値と血清アルブミン(Alb)測定方法の検討(腎と透析84巻2号2018)」にて、総Ca値との関係について血清Alb値で補正する方が、ブロモクレゾールグリーン(BCG)法、ブロモクレゾールパープル(BCP)改良法のいずれの測定方法でも良好な相関性が示されており、血液透析患者における総Ca値の評価で、Payneの補正式は日常診療にて今なお有効であると考えられると結論付けられており、以前はPayneの式(cCa(mg/dL)=実測Ca値(mg/dL)+{4.0-血中Alb値(g/dL)})を使用してcCaを算出しておりましたが、各種補正式によるcCaとイオン化Ca値との相関を調査した結果、クエン酸含有無酢酸重炭酸透析液を主に使用している当院では、田中らの式(cCa=総Ca+{4-(BCP+0.3)})が最も良好な相関が認めることが判明し、現在Alb値3.5g/dL未満の時は田中らの式でcCaを算出しております。但し、田中らの式はPayneの式を用いた結果よりcCaが低めに出る事が多く、低Ca血症予防の為ビタミンD製剤やCa含有P吸着薬投与を行うケースが以前よりは当院で増えており、それが奏功してか、透析中の下肢つりや心電図上QT延長が減少している傾向が見受けられます。
又、ごく一部のspKt/V1.2未満の方は透析導入間もない方や在宅血液透析実施中の方らで、2019年末の当院平均spKt/V値は1.86です。

 

「元気で長生き」を目標に可能な範囲でより良い治療結果が得られるよう皆様と共に今後も歩んでいきたいと考えておりますのでご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。

自主機能評価指標(2019年12月末現在)