人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

菅沼院長の元気で長生き講座
course

  • 院内写真1
  • 院内写真2
  • 院内写真3
  • 院内写真4
  • 院内写真5
  • 院内写真6
腎内科クリニック世田谷
腎内科クリニック世田谷
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

第88回 元気で長生き講座【2019年8月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

~冊子『在宅血液透析のススメ』と比較した本院在宅透析~

 

今年、在宅血液透析研究会より漫画の冊子『在宅血液透析のススメ』が発行されました。作者はバンザイさんでこれまでに菅沼も描いて頂き紹介しております(リンク)。在宅血液透析研究会会長の政金生人先生のご許可を得て、この記事内に冊子画像を掲載いたします。画像をクリックすると別ページが立ち上がりますので、ぜひご一読下さい。

本院での腎代替療法や在宅血液透析(HHD)実施状況と一部異なる箇所がありますので、お伝えします。

 

<腎不全治療(腎代替療法)の選択肢>

冊子では腎不全治療の選択肢として1.移植 2.施設での血液透析(HD) 3.腹膜透析(PD) 4HHD4つの腎代替療法があるとしていますが、本院ではその他にPD+HD併用療法も腎代替療法の選択肢として提案・実施しています。早期開始により、PD単独療法(週7連日透析)で生じやすい透析患者様の生命予後と関連するアルブミン値の低下とHD単独療法(通常週3回の施設HD)で生じやすい残腎機能の低下の双方が、PD+HD併用療法では抑制されたことを日立総合病院 腎臓内科 主任医長、腎臓病・生活習慣病センター センター長(兼務)の植田 敦志 先生が報告(Ueda ANagai KHirayama A, et al. Combination Therapy with Peritoneal Dialysis and Hemodialysis from the Initiation of Renal Replacement Therapy Preserves Residual Renal Function and Serum Albumin.Adv Perit Dial.2017;33:74-8.)しており、オンラインHDFを含む週1HD併用により透析アミロイドーシスの原因であるβ2MG値上昇も抑制が期待出来る、世界では日本で最も行われている有用な在宅透析方法です。

 

<採血>

1回自己採血し専用容器(検体)を宅配便でクリニックへ送ると記載されていますが、本院では月1回は施設にてHDを行い、その際透析前と透析後に採血を行っています。下記のような多くのメリットがあり、HHDにおいても施設での採血が考慮されても良いであろうと考えます。なお、冊子にて「訓練・外来・検査などはクリニックによって異なります」の一文があることも紹介致します。

 

HHD患者様における施設でのHD実施によるメリット>

  1. 自己穿刺の技術を確認してもらえ、バスキュラーアクセスの評価も可能な超音波診断装置(エコー)による指導も受けられる。
  2. コンソールの操作手技等も透析医療スタッフに確認してもらえる。
  3. 透析中にゆっくり医師や臨床工学技士・看護師に何でも相談することができ、施設透析患者様と交流することも可能。
  4. 自宅での採血、遠心分離器の設置、検体発送自体が一切不要。
  5. 本院ではHHDにおいても代謝性アシドーシス改善効果に優れるクエン酸含有無酢酸重炭酸透析液(カーボスター)を用いており、定期的にその効果や呼吸状態も確認出来る血液ガス分析(血液ガス検査)も可能。