人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

菅沼院長の元気で長生き講座
course

  • 院内写真1
  • 院内写真2
  • 院内写真3
  • 院内写真4
  • 院内写真5
  • 院内写真6
腎内科クリニック世田谷
腎内科クリニック世田谷
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

第51回 元気で長生き講座(2016年2月号)

菅沼院長の元気で長生き講座

~長生き及び足やシャントのためにも禁煙をお勧めします~

 

喫煙により、心臓や呼吸器の病気、脳卒中、癌、妊娠に関連した異常の他、難聴、糖尿病、胃潰瘍、慢性腎臓病、歯周病、白内障や骨粗しょう症等の発症率及び死亡率が高まることが報告されており、最近では、能動喫煙のみならず、受動喫煙である環境タバコ煙曝露により狭心症の進展や心筋梗塞の死亡率が高まることが報告され、地域ぐるみの禁煙化が世界中で実施されるようになり、国内の喫煙率も低下傾向です。

 

筑波大学腎臓内科の斎藤知栄先生は国内誌「臨床透析2012;28:1213-19.【透析患者における生活習慣改善策】[各生活習慣が及ぼす影響と具体的な対策]飲酒および喫煙」にて、「透析患者は、骨ミネラル異常による血管石灰化と、それに続き動脈硬化病変を生じやすいことから、さらに動脈硬化を促進する喫煙の影響は絶対に排除すべきである」と記述されておいでです。実際、本院でも年1回を目安に実施させて頂いております首の血管の頸動脈エコー(超音波)検査結果の透析患者様における評価にて、加齢と共に、喫煙が動脈硬化を進展させる可能性があると報告(Nakashima A et al. Intern Med 2003;42:1095-99. )されております。

 

2011年に行われた過去の10の報告をまとめたメタ解析Liebman SE,et al. Am J Kidney Dis 2011;58:257-65. )で、喫煙する透析患者様は非喫煙の透析患者様に比べ、1.65 倍有意に死亡の危険が高かった事が報告されました。

 

昨年行われた透析患者様における過去の30もの報告をまとめたメタ解析(Kaminski MR, et al. Nephrol Dial Transplant2015;30:1747-66. )で、足の切断の可能性が、末梢動脈疾患の合併、高血糖や喫煙継続で有意に高まる事が報告されました。

 

今回配布させて頂いた冊子「あなたのシャントは大丈夫?」の5ページに「薬剤で血栓をとかす」とありますが、本院も緊急用の血栓溶解剤ウロキナーゼ®を院内に常備しております。シャントトラブルを防ぐには「シャントマッサージ」も有効であり、実施を望まれる方には方法を説明させて頂きます。シャントトラブルの予防に日々のシャント音聴取も有効です。聴診器をお持ちの患者様も多くいらっしゃると存じますが、お持ちでない患者様はご購入もご相談下さい。平均年齢43歳、平均透析歴7.7年の141 名の透析患者様にて、60名に内シャントの血栓閉塞を認め、採血上の好酸球数増多や喫煙の継続が内シャントの血栓閉塞に関連していたとの報告(Ozdemir FN, et al. Transplant Proc 2005;37:2918-21. )もなされています。

 

以上より、動脈硬化を予防し、長生き及び足やシャントのためにも禁煙を強くお勧め致します!お一人での禁煙に自信の無い方、起床後30分以内にタバコを吸う方やより楽に禁煙したい方は、禁煙治療がお勧めです。一定の要件を満たすニコチン依存症と診断された場合に健康保険が適応されますので、「大賀内科クリニック」等の禁煙外来実施医療機関をご紹介させて頂きます。