人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

菅沼院長の元気で長生き講座
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腎内科クリニック世田谷
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〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

第57回 元気で長生き講座(2016年8月号)

菅沼院長の元気で長生き講座

~熱中症予防のためにも御自身のDWを覚えて頂き日々の体重や血圧測定をお勧め致します~

 

今年も暑いですね。天気予報で89月の降水量は平年並みですが、気温は太平洋高気圧の影響により平年並みもしくは高いとの予報がなされています。気温が高いと、熱中症予防のためにこまめに水分補給をと一般的には言われています。透析患者様におかれましては、ご自分の尿(自尿)の量(尿量)が多い透析歴の比較的短い方は、特に熱中症への注意が必要かと存じます。一方、自尿が少ないもしくは無尿の透析歴が概ね2年以上の比較的長い方や透析間体重増加(心臓への負担、高血圧や透析中の血圧低下予防のためにも1日空きでDW4%未満、2日空きでDW6%未満をお勧めしております)が比較的多い方は、脱水や熱中症にはなりにくいことが考えられ、心配しすぎることはないかと存じます。一方、暑さによる口渇で水分摂取量が多くなり、体重が増加し過ぎてしまう方もいらっしゃいます。その場合は塩分制限(減塩)に加え、透析量増加(透析回数、透析時間や血流量の増加)もお勧め致します。透析量増加に伴い尿素窒素(UN)の数値が下がることで口渇が軽減されるとの報告(久納康嗣:長時間大血流透析で人件費をゼロに水を好きなだけ飲める.名古屋市立病院紀要 24 P31-34,2002)もなされており、透析量増加に伴い口渇が軽減した患者様もいらっしゃいます。

 

いずれにしましても、ぜひ御自身のDW(ドライウエイト:透析後目標体重・基準体重・乾燥体重・基礎体重)を正確に覚えて頂き、毎日御自宅でも体重を測定されてみて下さい。測定された体重がDWを上回っていれば、脱水や熱中症の心配は低いと存じます。万一、下痢(の際はカリウム(K)値も低下しやすいので注意を要します)がある場合や、暑い日に沢山の汗をかいて、体重がDWを下回っていた場合は、脱水や熱中症の心配がありますので、まずは十分な食事摂取をお勧め致します。十分な食事摂取でもDWを上回らない場合は水分補給も行いましょう。併せて、血圧や脈拍数(心拍数)測定や内シャント等のバスキュラーアクセス確認もお勧めします。体重がDWを下回っていた場合は、循環血液量(体液量)不足に伴う低血圧、心拍数の多い頻脈や内シャント閉塞の心配もあります。歩行出来ない程のふらつき、意識障害や嘔吐等を認め、飲水や十分な食事摂取が出来ない程にお身体の具合が悪い場合は、点滴や入院等の加療が必要となる可能性がありますので、速やかに本院やお近くの医療機関への受診もしくは救急車の要請をお願い致します。