最高水準の腎臓病及び透析医療を追求する京王線千歳烏山駅北口の夜間透析・在宅透析も行う腎内科クリニック世田谷です。

菅沼院長の元気で長生き講座
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腎内科クリニック世田谷
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第103回 元気で長生き講座【2020年12月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

 

~感染対策の基本は、密の回避、マスク着用と手指衛生です~

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防に関連する文献を3つご紹介します。

最初にCOVID-19対策として推奨されているマスクと手指消毒のインフルエンザに対する有効性が示された論文Aをご紹介します。

 

<A.要約>

ワクチンの入手可能性に限りがある事、抗ウイルス薬に対し耐性を示す可能性がある為、マスクと手指衛生の実行により、自然環境でインフルエンザ様疾患(ILI)と検査室で確認されたインフルエンザ発生率が低下したかどうか調べました。2007~2008年のインフルエンザシーズン中、5つの大学、計37の寮に住む1,178人の若年成人を対象としたクラスターランダム化介入試験が計画されました。参加者は、研究中マスクと手指衛生、マスクのみ、又はその対照群として割り当てられました。6週間の研究期間にわたってインフルエンザ感染を調べたところ、研究の3~6週目でILI率の有意な低下が観察され、最終研究週で最大75%の低下が見られました。対照群と比較した両方の介入群は、結果が統計的有意性に達しなかったものの、研究期間にわたってインフルエンザ発生率の累積的な減少を示しました。マスクと手指衛生を組み合わせると、地域社会でのILIとインフルエンザ発生率が低下する可能性があります。これらの非医薬品対策は、インフルエンザパンデミック時に推奨されるべきです。

文献A.  Aiello A E, et al. Facemasks, Hand Hygiene, and Influenza among Young Adults: A Randomized Intervention Trial. PLoS ONE 7(1): e29744.doi:10.1371/journal.pone.0029744 2012

 

ほぼ全員の日本人が外出時にマスクを着用し、手指衛生を心がけている現在、国内のインフルエンザ感染者数が激減した事は、マスク着用と手指衛生の有効性を裏付けるものと考えられます。しかし、 COVID-19第三波到来に伴い11月19日東京都は感染状況を4段階のうち最も高い警戒レベルに引き上げました。同日日本透析医会よりCOVID-19新規感染者数急増に伴う透析施設での患者様、医療従事者等への注意喚起及び感染対策の徹底について(お願い)の連絡がありました。運動不足への注意を要しますが感染拡大期の不要不急の外出や旅行は控えるようお願い致します。院内でも院外でも「3つの密(密閉、密集、密接)」が同時に重なる場を徹底して避けて下さい。マスクをはずして飲食する場合、他の方と一定の距離を保ち、極力マスク無しでの会話は控えてください。COVID-19は発症二日前の自覚症状が無い段階から感染力を有し無症状の方もいる事から、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)を使用する等健康状態の把握や、毎日体温を測定し健康観察を十分行って下さい。発熱や咳、嘔吐や下痢等の症状がある場合は、来院前に当院に必ず電話連絡して下さい。必要時は個室や隔離透析を行います。常時正しくマスクを着用する事、手指衛生の徹底等行って下さい。

 

欧米の腎不全患者におけるCOVID-19の発生率について

 

<B.要約>

Couchoudらは、維持透析患者のフランスREIN登録からのデータを報告している。COVID-19発生率の推定値が一般集団0.2%であるのに対し、全国の透析患者の3.3%がCOVID-19を発症している。在宅透析患者と比較して、施設内透析患者のリスクは2倍近く高くなっていることがわかった。透析患者におけるCOVID-19の地域的な発生率は、一般集団における地域的な発生率を反映しており、透析患者における感染には地域社会での広がりが大きな役割を果たしていることが示唆されており重要な知見であると考える。

(要約作成者:昭和大学藤が丘病院内科系診療センター内科(腎臓)/昭和大学統括研究推進センター 西脇宏樹先生

飯塚病院腎臓内科/臨床研究支援室 佐々木彰先生)
文献B. Couchoud Cécile, et al. Low incidence of SARS-CoV-2, risk factors of mortality and the course of illness in the French national cohort of dialysis patients. Kidney International 2020

 

文献Bより感染対策としても在宅透析(腹膜透析及び在宅血液透析)を今後も当院は推進して参ります。フランスからのこの報告では、低アルブミン血症と虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の存在がより高い死亡リスクと関連していたとされており、蛋白質の十分な摂取や虚血性心疾患の早期発見早期治療が重要と考えられます。

 

最後に、医療法人財団倉田会の兵藤透先生らの国内透析関連トップジャーナルの日本透析医学会誌に掲載された論文Cをご紹介します。感染対策の基本を実行する事で透析施設での院内二次感染が防止された例です。引き続き感染対策へのご協力をどうか宜しくお願い申し上げます。

 

<C.要約>

当院はCOVID-19感染者の多い神奈川県にある無床外来維持血液透析クリニックである.透析患者は学会指針のマスク着用,手洗い等の標準予防策を遵守し通院している.今回,血液透析患者1例がCOVID-19に罹患していることが判明した.この普段からの標準予防策に加えて,発生から2週間,感染者が出た透析時間帯の患者は時間帯を固定,同一メンバーとし,不要不急の検査,受診,手術は延期し,感染防御対策を行うこと(集団的隔離透析)を補完的に加えることで,二次感染が防止できたと考えられる事例を経験した.特にマスク,手洗い等の普段からの学会指針の基本を遵守することが二次感染防止に非常に有効と考えられた.

文献C.羽賀里御,浦辺俊一郎,深澤桃子,他.血液透析クリニック通院中の患者1例にCOVID-19発症するも二次感染を防止し得た事例:学会指針に従った感染防御対策の有用性と集団的隔離透析(Hemodialysis with Cohort Isolation)について. 透析会誌.53(9):465~470,2020