人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

菅沼院長の元気で長生き講座
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腎内科クリニック世田谷
腎内科クリニック世田谷
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

第82回 元気で長生き講座(2019年2月号)

菅沼院長の元気で長生き講座

 

~ドライウェイト(DW: 透析後目標体重・基準体重・乾燥体重・基礎体重)と血圧について~

 

日々の回診で、「血圧が高いので体重(ドライウェイト)を下げましょう」または「透析後半に血圧が下がりすぎるので体重(ドライウェイト)を上げましょう」など、血圧を理由にドライウェイトの調整をすすめられることがあるかと存じます。ドライウェイト(余分な水分が無い体内の水分量が丁度良いときの体重)と血圧はお互いに関係しています。透析患者様は、余分な水分を尿で出すことが十分に出来ないため、透析をしていない間に体内の循環血液量が増えて、血管内圧が上がります(血圧が高くなる=高血圧)。

 

血管内圧が高い高血圧が続くと、血管の壁に負担がかかり、血管の壁が傷み厚くなり閉塞や、破けてしまう原因となります。血管には道路の役割があるので、血管の壁が厚くなり閉塞してしまうと、栄養や酸素が届かず、周りの臓器、皮膚や筋肉などの一部が死んでしまい、本来の働きが出来なくなることがあります。もし心臓の血管(冠動脈)の閉塞(心筋梗塞)や脳の血管が破けると(脳出血)、重い後遺症が残るなど、取り返しのつかない状況になります。血管は大事です。また、血管内圧が高い血液量が多い状態は、血液を全身に送っている心臓への負担もかかったままになっていることになります。心臓もいたわりましょう。

 

そこで透析では血圧を測りながら血液から水分を除去(除水)し、血管内圧を適切なところまで下げています。適切な血圧は、人によって異なりますが、通常上の血圧(収縮期血圧)100~140/mmHgの範囲を目安としています。実際の血液の量は目に見えないので、透析の終わり頃(余分な水分の多くが抜けた頃)の血圧や症状、透析終了時に測定された体重などによりドライウェイトを調整します。ドライウェイトまで水を抜いたのに、終わり頃になっても血圧が高いと、まだ血管や心臓に負担がかかっていると考え、「もっと水を抜いたほうがいい=ドライウェイトを下げましょう」と通常なります。逆に、ドライウェイトまで水が抜けていないのに血圧が下がりすぎる(透析低血圧)、または足がつるなどの症状が出る場合「水を抜きすぎている、または水を抜くスピードが速すぎるのではないか」と考え、「ドライウェイトを上げましょう、またはもっとゆっくり水を抜きましょう(透析時間を延ばしましょう、あるいは透析回数を増やしましょう)」となることがあります。透析間体重増加が多すぎる場合も同様の血圧低下や足つりが起きるため、塩分水分制限をお願いすることがあります。ドライウェイトの設定には色々な情報が必要です。定期的に行う採血、胸部レントゲンや身体組成分析などの検査結果により総合的に判断し、決定しております。

 

実際の血圧コントロールは、食事(塩分水分制限)、運動、薬(降圧剤や昇圧剤)、長時間透析の高血圧並びに透析低血圧改善効果が知られており透析時間の延長により行うこともあります。血圧コントロールの際、毎日記録していただいている血圧は大変参考になります。記録することで「いつもの自分の状態」を把握しておくことは、体調変化の早期発見につながります。災害対策の為にもご自身のドライウェイトは現在何kgであるのか是非覚えて頂き、毎日体重を測ることもおすすめです。「昨日は飲みすぎたから、今日はいつもより飲む量を控えよう。運動で汗をかこう。」と生活を見直すきっかけになります。本院では自己管理に役立つスマホアプリ「Welbyマイカルテ」での血圧、体重、歩数管理もおすすめしております。ご不明な点はスタッフまでお声がけ下さい。